ーーこのホームページを作ったわけ

  

   今回のウクライナ侵攻ほど、戦場のリアルが目の前に迫ってきたことはなかったでしょう。ミサイル攻撃でキーウの集合住宅が真っ二つになり、血まみれの女性、老人,子どもが次々に運び出される。ブチャの路上に、点々と転がる住民の死体、なかには後頭部を撃たれた人もいます。ドローン攻撃が行われ戦車が爆発し、そこから兵が逃げ出したり、塹壕に手りゅう弾が投げ込まれたりという苛酷な場面が、スマホやパソコンに映し出されます。今や戦争はSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で個人の手元に、リアルタイムで配信される時代なのです。おかげで、病院、学校、商業施設、発電施設などを無差別に攻撃し、市民、女性、子供を容赦なく殺し、市民生活をおびやかすロシアの卑劣さが世界の人々の目に明らかになりました。日本でもあちこちからウクライナ支援の声が上がりました。驚いたのは市民の反応です。侵攻は2022年の224日に行われましたが、その翌月には、イオンが国内一万カ所のスーパーマーケットに募金箱を設置しました。募金額は1ヶ月で3億円に達し、これにイオン出資の寄付金3億円がプラスされ、総額6億円が6月にユニセフに贈呈されたそうです。ロシアから撤退した日本企業は、トヨタ、資生堂、ソニー、三井物産、富士通、ブリジストンなど60社にもおよびます。市民や企業が、この戦争をいかに憂慮しているかがわかります。

 私は1960~70年代の反戦フォークソング世代です。新宿駅西口広場に数千の市民が座り込んで合唱しました。不法占拠であり、西口には交番もありますが、あまりの民衆の多さに警察官は手の出しようがありません。人々は『花はどこへ行った』や『イマジン』などの反戦歌そして『インターナショナル』などを次々に歌います。この現場に私もいましたが、「自分たちは自由なんだ」という不思議な高揚感に包まれていたのを覚えています。

 民主主義とは何でしょうか。難しく考える必要はありません。民衆が主人公の世の中です。しかしふつうの人は生まれるや、すぐに国家や法律という枠、さらには学校教育やイデオロギー(思想)で国民教育を施されます。これらの束縛を振りほどき、自由で自立した民衆になるのは容易ではありません。私の経験では、海外に出かけ、民族や国籍の異なる人々と会話をし、手を結んで、国やイデオロギー、国境を超えるしかありません。

 このショートストーリーは、若い人たちにも読んでほしいと童話風につくってみました。

ウクライナを忘れてはいけません。ウクライナのことは他人事ではありません。この戦争の行方こそ、21世紀の人類の未来を決める重大事なのですから。